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「認知症事故賠償訴訟」 にて考える高齢化社会の有り方

 今回の最高裁判決はかなり踏み込んだ判決です。単純に「JR東海が逆転敗訴」では済まない、大きな意味を持ちます。

www3.nhk.or.jp

 

JR東海側から見た場合

この件において勘違いしてはいけないことは、JR東海は【被害者】です。株式会社という組織である以上、損失に対する賠償を求めざるを得ない立場に立たされました。株主からしたらなんで損失出てるのに~となります。

今回は鉄道という大きなインフラサービスゆえに大きなニュースになります。これがバスや営業車、極端な例でいえば個人でドライブ中の車ならどうなるのでしょう?JR東海もおそらく敗訴になるだろうと考えていたのが、想定以上に踏み込んだ判決が出たという所ではないでしょうか?

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家族側から見た場合

1,2審の不当判決からの控訴は当然で、1審など離れて暮らす長男も賠償対象になるという意味不明な判決。家族側もここまで厳重に監督してて、という思いはあったでしょう。私自身も祖母が認知症を患い、徘徊を何度も何度も繰り返された経験があります。

裁判というのは訴える側、訴えられる側どちらにも多大な労力を強います。今回は家族を失った状況において、しかも訴えられる【加害者】側では裁判をやらざるを得ない。家族側コメントで長男さんの「肩の荷が下りた」には、なぜここまで時間が掛かるのかと感じざるを得ないです。

 

認知症患者が増える⇒同型の事故は増える

 日本の裁判所は「社会の法的安定性確保のためには、裁判所は社会の動きの半歩後を歩むべきである。」という姿勢です。 提訴から8年かかっての判決ですから、今現在は同じような案件が増えているでしょう。そのうえでこの判決内容です。

認知症の人を含む精神的な障害がある人について、妻や実の息子だからと言って、それだけで無条件で監督する義務を負うものではない

 

極端すぎるかもしれないけれど

同居しているかどうかや、日常的な関わりがどの程度か、財産の管理にどう関与しているか、それに介護といった生活の状況などを総合的に考慮して判断すべきだ

今回これも指摘されているのですが、そのうえで危惧するのです。

姥捨て山な発想が出てくるのではないかと。。。

家族に認知症の疑いが出た時点で、こういう発想に至る輩も出てくるのではないでしょうか?もしこんな事を起こされたら、認知症本人だけでなく周辺・地域の住民にも影響は必至です。判決を見た瞬間にこれが怖いなと感じたのです。

 

己も高齢化するし、周りに高齢者は増える

今後の自分・家族をどのように処するのか(敢えて処すると言います)、いざとなっては人間うろたえるものです。情報収集や話し合い・考え方を普段から心がけて置くべきだなと、改めて感じたこすもっぷでした。

 

最後に

ある元弁護士さんの一言です。

「裁判で得するのは、原告でも被告でもない。弁護士だけが得をするのだ。」